ダイモンジソウは定山渓の湿った岩場に生育する多年草で、別名「岩蕗」。他に「雪模様」という愛称もあり、定山渓を代表する山野草の一つである。
名は花を見ればすぐに納得できる。白い花弁5枚のうち、上の3弁が短く、下の2弁が長いので、全体の形がまさしく漢字の「大」である。
学名は「岩を砕く」という意だが、これは岩場に自生しているからではなく、全草に尿の結石を溶かす作用があるためといわれる。葉は腎円形で長さ3~15cm。掌状に5~7浅裂して、縁に不揃いの鋸歯がある。花期は8~10月。
「雲にかかる深山、霞にしずむ幽谷。
渓流がそうそうとして走る。
脚下の清流から吹き上げる秋風に、色づいた木の葉が裏返る。
苔むした岩に数多の大文字草。
白い「大」の字が群れて舞い踊る。
何とも言えない風情である」
定山が人里離れた深山幽谷の温泉境に湯治場を拓いた頃も、大文字草は今と同じように咲いていたのだ。野の花を愛してやまなかった定山も、儚さと華やかさ、移ろいやすさと哀しみを感じながら、仙境の大文字草を見ていたことを想うと、実に感慨深い。
人待ち顔に咲く大文字草に心を遊ばせ昔を想う。
信息
- 科名・属名
- ユキノシタ科
- 花期
- 8~10月
- 花の色
- 白
分類
- 分類
- 花・植物
- 季節
- 9月, 10月, 8月
- 色
- 白