低山から亜高山の林縁や沢沿いの湿った所などに、生育する多年草である。
茎は円柱状の根から出て太く、高さは25~60㎝。葉は縦の脈が目立ち、長楕円形で、4~10枚つき、縁が細かく縮れ、波打つのが特徴である。花は穂状の花序に、やや密に多数つく。唇弁は3裂し、中央に淡紅紫色の斑紋(筋)がある。花の色はふつうに淡紅紫色で、よく目立つが白花の出現率も高い。距は曲がって前方に突き出る。花期は5~6月。
延根千鳥の和名由来は、まず根が掌状(手形)にならず、ふつうに長く伸びていること、それから花の姿が、波間に軽やかに群舞する、千鳥たちに似ていることに因む。
『ノビネチドリ』は、夏を迎える頃の個性際立つ花で、定山渓の自然のしっかり残った林縁に、ぽつりぽつりと一株ずつ離れて咲いているのを見ることができる。本来、山峡を川が流れ、清らかな湿気と大気を得られる場所、それが『ノビネチドリ』の生育環境としては、一番なのであろう。定山渓の自然の中で、雨に打たれ、風に吹かれ、様々な苦しみや難儀を経て今、ここに美しい花を咲かせている『ノビネチドリ』の清らかな姿にこころ打たれる。
人と花とが、心を響かせ合うことができる定山渓は、本当に素晴らしいところ。ノビネチドリの花を見続けてゆきたい。
インフォメーション
- 科名・属名
- ラン科
- 花期
- 5~6月
- 花の色
- 白・紫
カテゴリ
- 分類
- 花・植物
- 季節
- 5月、6月
- 色
- 白、紫