ミヤマオダマキはれっきとした高山植物で、高さ10~25cmの多年草だが、いにしえより定山渓の岩場に生育している。
花は鮮やかな青紫色で、やや下向きに咲く。がく片が花弁状で5枚ある。花弁は先端部が白く後方は距となって先が内側に巻く。花期は6~8月。
種子増殖や交配が容易なことから庭などで栽培されたり、さまざまな分種も作出されている。園芸品種のオダマキは茎葉がなめらかで、紛白色を帯びるが、母種のミヤマオダマキは茎も葉も粉白色を帯びない。苧環(おだまき)とは昔、麻糸を巻いた道具のことで、花の姿形が似ていることにより、名付けられた。糸繰草という別名もある。
ミヤマオダマキは独特の形象と色相の美しさで人気の高い花であるが、有毒植物であり、誤食すると下痢、嘔吐、呼吸困難をひき起こし、死に至ることもある。
今は昔の景、章月グランドホテル直下の岩場にはミヤマオダマキが群生していて、湯けむりの中、岩に寄り添うようにして、俯き加減に咲く姿が目を引き、訪れた湯治客の誰もが感嘆したという。過ぎし日の定山渓の面影である。
現在もわずかに残るミヤマオダマキだが、見る人もなく、川霧に濡れて色褪せた姿を晒している。野の花を愛したあの世の定山もミヤマオダマキの変遷を哀しんでいるにちがいない。
インフォメーション
- 科名・属名
- キンポウゲ科
- 花期
- 6.7.8月
- 花の色
- 青・紫
カテゴリ
- 分類
- 花・植物
- 季節
- 6月、7月、8月
- 色
- 青、紫