ミズヒキは日本各地の山野に自生する多年草で全体に粗い毛が多い。初秋の草むらに、大きな葉と小さな赤い花をつけた細長い花穂は目を惹く。鞭状の長い花穂が伸び、まばらに赤色の小花(直径5㎜ほど)をつける。
上からは赤く見える穂が逆にすると白い穂となる。これを紅白水引(慶弔の贈物に巻く細ひもで祝辞には紅白を使う)に見立てて和名とされた。水引草ともいう。花期は7~8月。春の淡い花にはない草やぎと艶やかさ、時には「はかなさ」も感じられて、ミズヒキを好む人は多い。
花びらのように見えるがく片が4つに裂け、上側の3片が赤く、下側の1片は白色。茎は互生し、楕円形~長楕円形で、長さ5~15㎝。葉の表面中央にしばしば黒い斑紋が現れる。葉実はレンズ型の堅果で、長さ約2.5㎜。褐色で光沢がある。衣服や動物に付着して種子が広がる。
アイヌ語名は「カルぺ」でひっかかるものの意。漢名は金線草または毛蓼(もうりょう)。
ミズヒキの花は本来、湿った木陰を好んで咲き、その様子は初秋の風情に満ち、寂しげでつつましく、地味だが野趣に富んだ凛とした印象を見る人に与える。風に吹かれて乱れなびく様子や、露にしっとりと濡れて、うつむき加減に垂れているのは、盛りのさ中にも、滅びゆくあわれを含んで趣深い。
夏の狂おしいばかりの暑さを連れ去るように秋風が吹きはじめると、定山渓には繊細な草花が姿をみせるようになる。一斉に生命への讃歌を奏でる春の花々と対照的に、秋の野の花は命あるものの、はかなさを思わせる。ひときわ日本人の感性に合致する。
「定山渓は侘び処(わびどころ)」と言っていたのは、定山渓の開祖『美泉定山』、その人である。閑居、幽居を楽しむところ、閑散な風趣を楽しむところ、簡素静寂の境地を味わえるところが「侘び処」である。
ミズヒキを代表格とする秋草の彩る定山渓は今もまさしく「侘び処」である。
インフォメーション
- 科名・属名
- タデ科
- 花期
- 7月、8月、9月
- 花の色
- 赤・ピンク
カテゴリ
- 分類
- 花・植物
- 季節
- 7月、8月、9月
- 色
- ピンク、赤



