定山渓の森 Encyclopedia of flora and fauna
動植物図鑑

ミズナラ(水楢)

ミズナラは別名「大楢」といい、定山渓で最も多い落葉高木。幹は高さ30m、径1.5mに達する。平均寿命は400年前後。北海道の最高樹齢はおよそ650年。現存の平均樹齢はおよそ250年。

武骨な巨木がしなやかな枝をゆらして、こまやかな表情を見せる定山渓を代表する樹種。
樹皮は淡い灰褐色で縦に不規則に裂ける。若枝は淡褐色の絹毛を散生するが、都市の経過とともに無毛となり、楕円形または円形の皮目を散生する。幹に多量の水分が含まれていることが和名の由来。アイヌ語名は「ペロニ」で。実のなる木という意味。

葉は倒卵状長楕円形から倒卵形。先は短い鋭形で、基部は徐々に狭くなり、ごく短い柄となる。長さ7~20cm。緑に鋭頭またはやや鈍頭の鋸歯がある。葉の表面には、はじめ軟毛があるが、次第に落ちて無毛となる。

冬芽の頂芽は卵形~五角錘形、先は鋭形。長さ5~10mm。輪生状に頂生側芽がつく。側芽は互生する。

ミズナラはジョウザンミドリシジミの幼虫の食樹で、成虫の蝶はミズナラの頂芽に卵を産む。
花期は5~6月。雌雄同株。雄花序は黄緑色で尾状、長さ6~8cm。新枝の下部から数個出て下垂する。
雌花序は新枝上部の葉の腋に1~3花つき、黄緑色。

果期は9~10月。果実は堅果(ドングリ)で、長さ2~3cm。初め薄緑色で、のちに褐色となり年内に熟す。ドングリの帽子(殻斗)はは杯上で、径約1.5cm。

ミズナラは材が美しく堅固であるため、建築、家具、器具などに利用される。またアルコール性の液体を入れても、外側からの強い衝撃や内側からの圧力に強く、中身ももらさずに、木の味も液体に移らないので、ウイスキーやワインなどの樽材として大変重要な存在である。

明治末期からミズナラは「北海道オーク」のブランド名で、家具材やスコッチウイスキーの樽材としてイギリスに大量に輸出された。特に定山渓では昭和13年より、森林鉄道の敷設が始まり、昭和42年の森林鉄道廃止までの全盛期と、その後のトラック輸送に変換されてからも、ミズナラは最大の伐木であり続けた。伐採が止まったのは、昭和46年奥定山渓国有林が「水源涵養保安林」の指定を受けてからである。その後平成7年、奥定山渓国有林は「水源の森100選」に国により選定されたのである。

インフォメーション

科名・属名
ブナ科
花期
5~6月

カテゴリ

分類
樹木
季節
5月、6月
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