エゾリスは、キタリスの一亜種で、北海道全域の森林地域に広く分布する。エゾシマリスと違って冬眠をしない、たくましい哺乳動物である。
体長は22~23㎝、尾長は17~20㎝、後足長は約6㎝、耳長は約3㎝。体重は満1歳以上の成獣で、300~470g。顎の下、胸、腹は1年中白い。
ふつう冬毛は少し茶色がかった灰色。夏毛はこげ茶色。冬毛は夏毛の2倍の長さがあり。全身に綿毛が密生し、耳の先には4㎝前後の房毛(ふさげ)も生える。4月下旬~6月下旬に夏毛へ、9月下旬~11月上旬に冬毛に、それぞれ約1か月で換毛を完了する。
エゾリスの四肢の指には長い「かぎ爪」があり、木の枝や幹を上下左右に移動できる。またふさふさした毛が生えた長い尾は、樹上で移動する際やバランスをとるのに役立っている。樹上だけでなく、地上でもすばやく走り回るが、可能な限り樹上を移動する。
エゾリスの平均寿命は3歳。満1歳までに75%ほどが死亡。飼育下では最長16年の記録がある。天敵はテンやキツネなどの肉食獣と、ワシ・タカ類やフクロウ類の猛禽類。
食物は樹木の種子(特にクルミやドングリ)、芽、果実、花、樹液、きのこ、昆虫が主なものである。植物質が98%、動物質が2%。ほかにキジバトやシマエナガなどの卵を食べ、哺乳類の骨もかじる。
秋には殻のままのクルミやマツ類の種子、ドングリなどを地面に浅い穴を掘って点々と埋めておく「分散貯蔵」を行う。時には木の枝などに、はさみ込んでおくこともある。長い冬の間、これらの貯蔵食物を見つけ出して食べる。深さ1mほどの雪の下からでも掘り出す。

エゾリスの性成熟は約1年。2月下旬~3月中旬にかけて発情期を迎える。妊娠期間は38~39日。年1~2回出産する。産子数は1~7頭で、3~6頭が多い。この時期、メスの4対(8個)の乳頭が目立つ。
エゾリスの巣には球状巣と樹洞巣の2種類がある。球状巣は外装を小枝、内装をやわらかい樹皮やコケなどで造った球形の巣。樹洞巣はキツツキ類の巣穴の跡や自然にできた樹洞に樹皮やコケなどを運び入れたものである。巣は休息や寝場所として、また出産と子育てに利用される。
インフォメーション
- 科名・属名
- リス科
カテゴリ
- 分類
- 動物