定山渓の森 Encyclopedia of flora and fauna
動植物図鑑

ツバメオモト(燕万年青)

 ツバメオモトは亜高山帯の林内に自生する多年草。本州では針葉樹林下に多い。花は直径1㎝程の小さな白い花で、高さは開花時で20~30㎝、果時にはその2倍ほどに伸びる。時には大きな群落をつくる。曲線的で優しい感じのする花で、純白の小さな花が茎の頂にたくさんつく様子は、曲芸をする少女のごとくで、危うさも感じる。花期は5~6月。
 ユリ科植物は、世界に広く分布し、美しい花が多い220属、約3,700種の大きな科であるが、「ツバメオモト属」は日本には1種だけ。

 短い根茎から大きな根出葉を出す。葉は全て根出葉で、やや厚みがあるが、やわらかく長さ20㎝ほど。花は直径1㎝程で、花柄がある。白い長楕円形の花被片が離生して6枚、花被片より短い雄しべが6個。花柱(雌しべ)は白く、柱頭が3裂する。果実は液果で球形。直径1㎝ほどの果実が数個、時に10個以上つく。濃い藍色の果実は実に美しく、紺色、瑠璃色、黒色と色の変化も楽しめる。ツバメオモトは葉も花も実も優美で、名前を聞けば、なおさら野生種とは思えない感じ。

 『燕万年青(ツバメオモト)』の和名の由来は、葉の形が「万年青(西日本に自生する常緑多年草で、園芸品種が多い)を連想させられることと、藍色の果実が燕の頭にそっくりなことによる。アイヌ語名は「ハッポクシムシ」で「トドマツの下に文生する草」という意。
 漢方では「雷公ヒ」と呼んで、止血剤に用いるという。

インフォメーション

科名・属名
ユリ科
花期
5~6月
花の色
白色

カテゴリ

分類
花・植物
季節
5月、6月
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